夫婦の力 conjugal tie 2003/3/25 final chapter  old 15

 広き門は誘ってくる。
結婚は、結婚したときの喜びで維持できる。
そして、その喜びが消えかかってくる頃に、子供が生まれる。
その子供が、夫婦を結びつける力となる。
しかし、やがて転機が訪れる。
転機が訪れるのは、早い。
それは、その子供が結婚する時。
そう、その時までは、苦しく思える日もあるが、軽き道なのだ。
子供が結婚した時、
夫婦のこころの中に空間が開いていることに、やがて気づくことになる。
転機の門。
その時、夫婦の力が、愛が試される。
その時、広き門は誘ってくる。
その門の先には、広く、歩きやすい道が広がっているように見える。
しかし、その道は、やがて徐々に細くなり、
そして時に、落石あり、崖崩れあり。
その時、気づいても、もうすでに1人になっている。
その時、国家に頼ろうとするのか。
しかし、その時、国家には、あなたを助ける力はない。
ましてや、国家はあなたの死には立ち会わない。
1人で死んでいくのだ。
それも構わぬという者もいるかもしれない。
しかし、それは人生の王道ではない。
人生の王道とは、
夫婦が助け合っていく道なのだ。
やがて、どちらかが死に面した時、見とどけてくれる者がいる。
そして、残された者が死に面した時に、見とどけに来てくれる者がいる。
狭き門から入った者は、初めにその道、歩きにくさに苦労するが、
やがて、その道は徐々に広くなり、
そして、光の海を見ることになるであろう。
永遠の大道を見ることになるであろう。